使える流木のポイントは水へ沈むこと

多くの木は水に浮きます。これは台風の後の川のように、自然に漂う流木を簡単にイメージできるからです。なぜ水に浮くのかを説明するために比重を用います。水より重たい木は沈み、軽い木は浮きます。ですが、木の水への浮き沈みを説明する要素はこれだけではありません。木は生きているとき地中の根から水分を吸収して、木の細胞にある道管を使って末梢まで吸水します。木が切られたり、枝が折れたりして、木が生命体としての機能を終えた後は、道管が水を運ぶように機能することはありません。つまり、双子葉植物の場合は環状に、単子葉植物は散在的に細胞の内部には空洞が残っている状態です。道管に周囲の水が十分に浸透していれば、比重の軽い木でも沈みます。簡単なたとえが、水に浮かべたスポンジが水の中で握って吸水させると沈むようになることと同じです。なので、実際には手にした木に水を十分に浸透させてみなければ水への浮き沈みはわかりません。特に流木の場合は、形もランダムなので物理的な要素は大きいです。
灰汁抜きは耐弱酸性生物には必要ない
自然から採取してきた流木は、灰汁を含んでいることが多いとされています。流木に含まれる灰汁の簡易的な判断は水につけた時の水の変色です。灰汁の成分はタンニンのような腐植酸で、水素イオン濃度は弱酸性に偏っています。気になるに人はpH試験紙でチェックしてみてください。流木の大きさと水の量とのバランスによりますが、灰汁を含む流木を浸水すると水が濁ることが多く、この濁った水をブラックウォーターといいます。当然、流木は自然の中では魚の生息する川などで浮いていたものなのでブラックウォーターで魚が死ぬとは言い切れません。魚の耐酸性に依存します。グラミーのような耐酸性の魚もいるので、自分が飼育している水生生物の耐酸性は確認しておいてください。耐酸性の生物のみの環境ならあく抜きの必要性はありません。ただし、灰汁の成分であるタンニンの影響は別なので事前に図鑑で調べたりや有識者に相談しておきましょう。灰汁抜きの方法は、まず全処理としてよく洗います。すぐに剥がれ落ちる表皮はどんどん取り除きましょう。そして色が出なくなるまで浸水と水の交換を繰り返します。浸水は、この時に流木が沈むかどうかがわかるので、沈まなければ爬虫類の飼育に回しましょう。早く灰汁を抜きたければ煮込んでも構いません。重曹や市販の灰汁抜き剤を添加するのも有効です。ただし、添加剤を使用した後はよく洗って下さい。
観賞用のほかにアロマやスモークチップとリサイクル
流木の主な利用は、観賞魚の生息する水槽の中で魚が身を隠し休めるためのスペースです。最近では特定の木の芳香性を利用して、アロマテラピーあるいは細かくチップ状にしてスモークサーモンやチーズを作る時の燻煙剤に利用しています。つまり木の種類によっては、流木の入手、洗浄、必要のある場合はあく抜き、乾燥、水槽中で利用、あるいはアロマテラピーやスモークチップ用の余りを水槽で使う。という幅広い応用もあり得るのです。リサイクルできる木の種類にフウがあります。流木の見極めは、状態にもよりますが縦にはがれる樹皮が特徴です。