インテリアにも活用できる薬箪笥主な用途

薬箪笥とは江戸時代から明治初期にかけて、医師や薬屋などが薬剤を収納しておくために使用した、いくつもの小さな抽斗(ひきだし)のついた時代箪笥のひとつです。薬箪笥は中国より伝わったと言われています。別名、百味箪笥ともいいます。丸い輪っかの鐶(かん)という取っ手がぶらさがっていることから、百目箪笥とも呼ばれていたそうです。
抽斗の数は多い薬箪笥で139個もあり、中に何が収納されているか一目でわかるように、引き出し部分に薬の名前が書かれた札が貼られていたそうです。
主な用途
主に江戸時代、明治初期の医師や薬屋などが薬や漢方を分類し保管しておくために、薬箪笥を使用していました。現在ではアンティークのインテリアとして、部屋に飾り小物や雑貨を収納しておくことができます。薬箪笥をリメイクして、現在の用途に合った便利な使い方をしています。
薬箪笥の特徴
薬箪笥は小さな抽斗がたくさんあり、その抽斗には出しやすいように、丸い輪っかの鐶という取っ手が付いているのが特徴です。薬箪笥に多く使われていた材質は、伸び縮みしにくく、触り心地の良い桐を使用していたそうです。桐は湿度調整が可能で、尚且つ防虫性もあり、薬の保管には適した材質だったと言えます。
薬箪笥としての大きさはさまざまですが、高さが40cmくらいの小さなものから、抽斗が多く高さが90cmくらいのものなど、当時の医師や薬屋が使いやすい大きさになっています。
デメリット
箪笥の中が見えず、たくさん同じような大きさの抽斗があるので、どこに何をしまったのかがわからなくなります。そのため、抽斗にはわかやすいように薬の名前が書かれていました。抽斗の取っ手に鐶という輪っかが付いていますが、つまみにくいなどのデメリットがあります。
アンティーク箪笥なので、1点ものなどになってしまい、価格帯も高くなります。江戸時代などの古い時代に作られたものなので、中古品になり傷みなどがあります。
まとめ
今ではあまり見かけない時代箪笥。現在では、そのアンティークな風合いを活かした、インテリアにもなっています。薬箪笥は小さな抽斗がたくさんあるので、小物や雑貨などのこまごましたものを収納しておくのに便利です。材質も湿度調節のある桐などを使用しているので、さまざまな大切なものを保管しておくのに適しています。
明治時代から大正時代にかけて作られた、下段が薬箪笥で、上段がガラス棚になっている、レトロな収納棚もあります。食器棚などの代わりに、上段は和食器や来客用の食器や茶器、ティーカップなどで見せる収納をし、下段は薬箪笥なので見せたくない小物などの雑貨を収納したり、日常使用する物をしまうことができます。アンティークな棚なので、ダイニングなどに置くだけで、とても存在感があります。薬箪笥の天板部分にインテリアや花などを飾っておくと、床やイス、ソファなどに座ったときに、ちょうどいい高さに見ることができます。
昔の人々が自分たちが使いやすいように、試行錯誤して作りだされた時代箪笥。その中でも薬箪笥はさまざまな工夫がされているので、現在でも使いやすく人気があります。アンティーク家具なので、なかなか自分の理想の品には辿り着かないかもしれません。当時の医師や薬屋の思いの詰まった薬箪笥は、現在も用途を変えて受け継がれています。