インド綿を活用した雰囲気のあるインテリア術

インド綿、もちろんインドで産出される綿のことです。もともと綿の原産国はインドであり、アラビア商人が西方へと伝えて、ヨーロッパでは5000年以上前から使われている素材です。日本には平安時代初期に中国から伝わりました。
インド綿と一口に言っても種類はたくさんあります。綿の繊維が太くて短いもの、この種類が一番多く生産されて布団、Tシャツなどの生活用品になります。あるいはカーテン、マットなどのインテリアファブリック(インテリアに使う布類)に利用されます。反対に繊維が細くて長いものは、光沢があって肌ざわりもよく、高級な洋服や豪華なインテリアファブリックに加工されるといった具合です。因(ちな)みに西インド諸島で採れる「海島綿(かいとうめん)」と称されるインド綿があります。インド綿のなかでも最高級品です。柔らかで肌触りの良い、手の温もりさへ感じます。
さて、インド綿は住宅のなかのインテリアとしても活かされています。洋服に使う場合と違い、布類をインテリアに使う時は、主に視覚的な要素が大切にされます。光の透け方や広い面積で見た印象などです。その分、性能面の制約は少なく、流行の影響も穏やかです。
インド綿はろう成分、油脂分が多いので染色ムラが出やすいのが特徴です。しかし、それがやわらかい風合いになり、温かみのあるカーテン、ホームテキスタイル(手織りマットなど)に適しているのです。
インド綿の特徴
インド綿の多くは繊維が太く、短いのが特徴です。この特徴は厚めのテーブルクロス、床に敷くカーペットやカーテン生地などを織るのに適しています。つまり、部屋の中のインテリアの素材として充分活かせる特徴を持っているのです。更に、繊維が細くて長いものもたくさん採れます。この繊維を超長綿(ちょうちょうめん)と呼びますが、中国の生産量より多く世界一を誇っています。具体的には世界の14%を産出しているのです。このようにインド綿はうす手のガーゼ状のものから厚手のカーペット状のものまで様々なものがあります。インド綿の特徴は次のようになります。
インド綿の利点
・通気性、吸水性に優れ、衣類に仕立てると蒸し暑い日でも比較的心地よい
・水、アルカリに強い
・染色性に優れ、染めやすい
・空気層が多く、熱に対する保温性に優れている
・綿花の種類が豊富でガーゼ状のもの、マット状のもの、光沢のあるものなど商品も多彩である
インド綿の欠点
・色ムラ、織りムラが強く出ている商品がある(品質上の問題)
・耐久性はやや弱い
・うす手のインド綿には避けやすいので、気になる時は重ねとよい
・ちじみ易い
・洗濯、摩擦によって毛羽(けば)立ちやすい
インド綿の主な用途
インド綿は綿花の種類によって、その固有種の特徴があり、用途もその特徴を活かして様々な商品になります。繰り返しになりますが、繊維の太くて短いものは布団綿、マット、Tシャツ、チュニック、クッションカバーなどの生活用品に。あるいはマットや絨毯、テーブルクロスやカーテンなどのインテリアファブリックに利用されています。
もちろん、インド綿は染色性に優れていることもあり、繊維の細くて長い高級品は肌ざわりもいいことから、ドレスの生地になったり、高級絨毯やお洒落でゴージャスなカーテンに利用されています。
服だけではないインド綿
インド綿を語る時、すぐ目に浮かぶのが頭に巻いた白いターバンとか通気性のよさそうな衣類です。一部の高原を除けば、やはり高温多湿の国です。インド綿はそこに暮らす人たちの文化そのものを象徴していると思います。日本も高温多湿な国であり、布文化ではどこか共通する面があるかも知れません。
インド綿特有の柄、色彩の豊かさは印象的です。それに太くて短い繊維はインテリアファブリックへ加工するのに適した素材です。彩色の豊かさは、部屋に用いると和風とはまた違う雰囲気を作りだします。
少し注意点を加えますと、一部の商品だと思いますが、色落ちしたり、他の衣類に色移りしてしまうなど、品質上の問題もあるようです。あまり、安すぎる商品は念のため、それだけ試し洗いをしてみるなどの注意が必要です。