オイルフィニッシュで雰囲気のある部屋を演出するポイント

私たちは木材の木肌、木目を眺めて癒されるもの。そんな木肌や木目をさらに引き立たせてくれるものがオイルフィニッシュです。オイルフィニッシュとは、北欧のチーク材の仕上げ法が、外国材の導入と共に伝来したといわれています。具体的には木材に植物油をハケで塗って浸み込ませ、乾燥させます。質感の好みによって、この作業を2回~3回繰り返す場合もありますが、自然で深みのある木肌を表現することができます。
オイルフィニッシュの主成分になっている植物油は乾性油(かんせいゆ)と言って、乾くと固まる性質をもった油です。亜麻仁油(あまにゆ)や、桐油(とうゆ)などです。実際には、この植物油に油溶性石炭酸(ゆようせいせきたんさん)、その他の合成油脂、または天然油脂を配合し、溶媒に溶かして作ります。
商品としては、素材への浸透性と適度な乾燥性をもたせた”ワコトオイル”、”チークオイル”などがホームセンターで売られています。
オイルフィニッシュの特徴
オイルフィニッシュは植物油を主成分にして作られます。使用者側として、環境に優しいことが大きな安心感材料です。木肌や木目が生かされる醍醐味もあります。
ただ、利点と欠点を挙げれば、残念ながら欠点が目立ちます。きれいな、心洗われるような木肌を長く楽しみたいものですが、その期間が短いのも気になります。1年~2年で風合いの劣化が進行してきます。しかし、塗り直しは自力で出来る容易さもあります。
利点と欠点に”色やけ”を記載しました。月日の経過とともに、元の色より少し黄色いような、茶色がかった色合いが強くなってきます。これは欠点と言えば欠点ですが、このような色彩を好む方もいます。筆者もその一人です。オイルフィニッシュの特徴は次のようになります。
利点
・自然の木肌、木目が引き立ち、表面はしっとりした質感がある
・引っ掻き傷はペーパで研磨して、塗り直し修復できる
・小さなへこみ跡は、スチームアイロンでふくらまして修復できる
・進行した色やけ(黄変性)は、木肌や木目がより味わい深くなる
欠点
・塗った後の乾燥時間が長い
・塗膜強度が低く、色やけ(黄変性)を生じ易いこと、1年~2年でメンテナンス必要
・耐汚染性が良くない(汚れが目立つようになる)
・引っ掻き、衝撃に弱い(しかし、修復は容易)
・水に弱く、濡れた食器やコップを長時間置くと輪染(わじ)みができる
オイルフィニッシュの主な用途
オイルフィニィシュで処理した質感、風合いは、長く楽しみたいものです。定期的なメンテナンスを必要としますが、それが思いのほか容易なのも特徴です。メンテナンスがし易いということがポイントになります。つまり、修復は必要に応じたペーパー研磨であったり、ハケを使った塗り直しで済みます。そうであればオイルフィニッシュの用途も広がるというものです。
普段、よく使うテーブルや椅子、棚などの造作類であれば日曜大工で塗れます。あるいは側面の板壁とか、床のフローリングなどです。大きな液晶画面の設置台などもいいと思います。お父さんが、古木(こぼく)にニスなど塗って床の間に飾っています。ニスは臭いもきついですから、オイルフィニィシュなら、そんな問題はおこりません。
木目を活かした素朴なインテリア
オイルフィニッシュの最大の特徴は材木の良さを自然体で表現していることです。飾らぬ木の素朴さ、美しい木目を引き立たせます。塗膜を作らず、木肌に浸み込ませるから成せる技とも言えます。
確かに、通常の塗膜をつくるペイントだと塗った後の耐用年数も10年程度は大丈夫でしょう。このあたりは、恐らく職人さんにお願いすることが多いと思います。しかし、オイルフィニッシュで塗った場所は、耐用年数が少ないので、都度、職人さんにお願いするのも費用が問題です。高い塗り替え技術が要らないなら、やはり孤軍奮闘してでも、自分でやる仕事です。繰り返し経験すれば上手になるし、楽しみにもなります。
一つだけ気を付けなければならないこと、特徴にも書きましたが水に弱いことです。長時間、濡れたものをそのままにしておくと、輪染(わじ)みになってしまうことです。汚れを水と一緒に吸い込むので、水汚れしたらすぐに汚れをふき取って綺麗に乾拭きしてください。オイルフィニッシュは手作りの塗装、そして、楽しい趣味の扉です。