グラスウールのメリットとデメリット

グラスウール (glasswool) は、ガラス繊維でできた綿状の素材です。保温性に優れ、不燃材料のグラスウールは、建築材料として欠くことが出来ません。グラスウールの原料は、建築物や自動車の窓に使われていたガラス、家庭から回収されたビン、ブラウン管、蛍光灯などの廃ガラスが主な原料です。高温で溶かしたガラスを遠心法で吹き飛ばし、綿状に繊維化します。その後、バインダ(結合剤)を吹きかけ、オーブンで加熱しながら成形された製品です。
グラスウールは発がん性のあるアスベストと混同されますが、まったく別の素材です。住宅の断熱材に使われる場合は、壁内部に充填(じゅうてん)され、室内外の空気を汚すことはありません。仮に、わずかに飛散している繊維を吸い込んだとしても、グラスウール の繊維は直径4~9ミクロンと太いため、鼻や気管支でほとんど除去されます。万一肺まで入っても生体の防御機構により速やかに排出されます。
グラスウールの特徴
年々、日本の気候も高温多湿化の傾向にあります。夏は出来るだけ涼しく、冬は暖かく暮らしたい気持ちがますます強くなります。そんな要求に応える建材がグラスウールです。グラスウールは空気の層を閉じ込めることで外部の熱さ、寒さを防いでくれます。更に、吸音効果に優れていることも大きな特徴です。アパート、ホテル、病院の個室など隣の部屋からの音が聞こえ難くなり、大変好評です。
グラスウールの性能とは別に、面積当たりのコストが大変安いこと、商品としての定尺サイズ・厚さが豊富なことです。天井向けとしてロール状にまかれた商品もあります。グラスウールの特徴は次のようになります。
グラスウールの利点
・同じ断熱材量である発砲ウレタンよりも価格が安い
・ガラス繊維ゆえに防火性能にすぐれている
・カッターとハサミがあれば裁断可能、現場での加工性に優れる
・ホルムアルデヒドの放散がほとんどない、F☆☆☆☆である
・耐用年数が長い
・広い周波数帯域の吸音性に優れる
グラスウールの欠点
・何らかの要因で空気の流れに触れると内部結露を起こす可能性がある
・部分的に水分を吸って重くなると、位置ずれが起こり、断熱性能が落ちる
グラスウールの主な用途
グラスウールは、無機質のガラスそのものが持つ、耐熱性、不燃性、耐久性などの良さと、繊維がもつ柔軟性をあわせもった素材として、さまざまな分野でその活用範囲を広げています。用途は住宅、ビル建築、設備機器をはじめ、自動車向けなど多岐にわたり、幅広い用途で快適環境の創造や省エネルギーに貢献しているのです。
住宅には床・壁・天井とほとんどの部位に使用されています。柔軟性が高く、木材の乾燥や収縮に対応でき、柱と柱の間に隙間なく施工していく充填断熱工法に適してします。また、高温多湿な状態に長く置かれても劣化しにくく、吸音性にも優れています。
更に付け加えますと、住宅以外にも相当多く使われています。オフィスビルや病院などの建築ではボイラーなどの空調設備が用いられます。それらの配管やダクト内を移動する空気や冷却水のエネルギーロスを抑える断熱工事にもグラスウールが活躍しています。
身近なところにたくさんあるグラスウール
グラスウールは住宅、オフィス、病院、工場、産業機械など、幅広く使われていますが、あまり目に触れることはありません。断熱、吸音、防振などの素晴らしい性能は、壁や天井の中、機械装置の外装の中に隠れて使用されます。つまり、最終完成品の性能を保つ縁の下の力持ちなのです。
日本列島の大部分は夏は厚く、冬は冷えます。グラスウールは、この環境に住む私たちが必要としてきたものですが、施工業者にとっても現場での扱いやすさは大変なメリットです。折り曲げは簡単、隙間に合わした寸法裁断もカッターやハサミがあれば出来ます。抜群の現場作業性をもっていることです。まだまだ、結露問題を気にする方もいますが、これだけ普及して工事件数も多くなると、それを克服する工法も進化発展しています。グラスウールそのものの性能、そして施工法の将来に期待するところです。