京指物と江戸指物と大阪唐木指物それぞれの違い

指物(さしもの)とは釘やネジ、接着剤などの接合材料を一切使わず、木と木を組み合わせるだけで作られる木材のことをいいます。古くは、家具や調度品などを作ること、地方では建具のことを「指物」と呼んでいたそうです。そして作る職人のことを「指物師」と呼んでいます。
日本の伝統工芸で、指物にはいくつか流派のようなものが存在し、京都の「京指物」、東京(旧江戸)の「江戸指物」、大阪の「大阪唐木指物」などがあります。京指物・江戸指物・大阪唐木指物、どれも木工品として経済産業大臣指定伝統的工芸品の指定を受けています。
主な用途
主に小箱・たんす・飾り棚・お盆・踏み台・鏡台・座卓・机など、その種類は多岐にわたり、釘などを使わない接合方法のみで、組み立てられています。釘やネジ、接着材などが一切使わせておらず、計算され組み合わせられています。釘などがないので美しさが際立ち、家具に応じた用途で使用することができます。
指物の特徴
釘やネジ、接着剤などの接合材料を使用せず、指物師が手作業で組み立てています。ノミを使用して、経験を頼りにした職人技で板を繋ぎ合わせています。接合方法は50種類以上あり、ホゾなどを使い釘を使わず板を組み立てます。
指物にはさまざまな伝来のルートあり、地域によって指物の特徴が違います。
京指物
平安時代の貴族文化を始めとして、室町時代に指物師が現れ、茶道文化と共に盛んになりました。貴族や公家が使用していた優雅で繊細な細工が特徴です。
江戸指物
江戸時代、徳川幕府が神田・日本橋界隈に職人町を作って、手工業を発展されました。その中で江戸指物も盛んになりました。江戸指物は武家や町人、商人が主に使用していたので、華美なものではなく、淡白な木目を活かした指物です。
大阪唐木指物
奈良時代に遣唐使を通じて中国より伝来してきた唐木製品が元となっています。唐木の重厚感と漆塗りの光沢が印象的な指物です。
デメリット
釘を使わず、職人が手作業で組み立てているので、値段か高くなります。釘を使用せず、木と木を組み合わせて作っているので、直射日光やストーブなどの熱で、木が狂いを生じてしまうことがあります。湿気にも弱いものがあるので、注意しましょう。
木材が繊細なため、汚れた場合は柔らかい布で空拭きし、落ちない場合は水拭きをしてその後必ず空拭きしましょう。万が一破損した場合は、専門の業者に修理を依頼しましょう。
伝統美溢れる日本の匠の技
日本の伝統工芸品の指物は、京指物・江戸指物・大阪唐木指物という大きく分けて3つの地域で盛んになりました。伝来ルートはそれぞれ違い、職人が手作業で木と木を組み合わせて作るという手法は変わりません。
京指物は華美で華やか、江戸指物は控えめ、大阪唐木指物は唐木を使った重厚なものと、それぞれに違った風合いがあります。釘を使わない手法のため、どれも見た目がとても美しく、ホゾつぎなどで見せる接合になっているものもあります。ただ、湿気や熱には弱いので、木が狂うことのないように気を付ける必要があります。
指物を作る職人を指物師といい、今もなおその伝統工芸を守っている指物師がたくさんいます。万が一壊れてしまったりという時は、修理を依頼することもできます。日本の伝統工芸品は指物師がいるからこそ、修理を重ねて古き良き指物を受け継いでいけるのです。